自分だけにしか思いつかないアイデアをだす アートディレクター高橋豊史さん 〜LOGO DAYS ロゴデザイナーインタビュー

デザイナーインタビューロゴストックのデザイナーインタビューコーナー【LOGO DAYS】
今回は、アートディレクターの高橋豊史さん。ロゴはもちろん、様々な広告のクリエイティブを手がけていらっしゃいます。
ロゴストックでも紹介しているQUOMOのロゴは高橋さんのお仕事。
そしてもちろん、今回のコーナータイトルも高橋さんのデザインです。

ロゴが行動をアフォードする

高橋豊史さん広告に関わる様々なデザインワークを手がける高橋さんですが、ロゴデザインの仕事はとても好きだと言います。

「ロゴとは旗印、家紋と一緒だと思います」。
旗印や家紋は、外に向けて掲げ、主張するもの。それと同時に、同じ志をもった仲間や家族の心の中に灯るもの、帰るべき場所を示したマークであるという捉え方を重視しています。

ロゴは理念を形どったものです。会社やチームが行動をするとき、何か新しいことをするとき、それは自分たちの理念に沿ったものであるべきです。

自分たちのロゴを見ることで、常にメンバーが同じ志を持って行動できる。ロゴデザインにはそういう役割があるのではないかと語ります。

会社もサービスも、時とともに社員や担当者は変わってゆくもの。そんな中で、同じ意志をずっと引き継いでいくことができるのがロゴ。そんな思いがあるそうです。

「書体は口調と一緒であると良く言われるように、ロゴにも口調があると思うんです」。
ガンバレ!と鼓舞するものなのか、グイッと引っ張り上げるものなのか、優しく見守るものなのか。
理念をどんな口調で表現するのか? そんな点に注目するとロゴデザインの幅がひろがりそうです。

マークとタイプの組み合わせはひとつだけ

そんな高橋さんのロゴ制作からプレゼンのアプローチはどういったものでしょう。
ロゴストックでも紹介している「QUOMOのロゴ」では、プレゼンの段階で5案を提案したそうです。

QUOMOロゴ案

写真のように、それぞれまったく違う方向性のものだったと言います。

「モビリティという部分から発想を膨らませ、振り幅の大きい案をバリエーションとして作りました」。

ロゴマークもロゴタイプもそれぞれのコンセプトに合わせてしっかりデザインをしていきました。このマークとタイプのバランスはとても重要。片方だけ見ても同じ世界観が伝わること、そしてこのマークにはこのタイプという唯一無二の一対であることが必要です。

『マークはA案で、タイプはB案がいい』クライアントはそんな要求してくることもありがちです。
しかし、「そもそも入れ替えても成立するようなロゴは、やっぱり弱いと思うんです」。そこに高橋さんのデザイン哲学があります。

マッピングして提案する

次に「ブレスポのロゴ」。こちらはネーミングから提案していったお仕事だそうです。
今度は、ポジショニングマップを使ってのプレゼンを紹介してくれました。

ブレスポ ロゴプレゼン
つくった案をマッピングして見せると、それぞれのデザインが持つイメージが明確になるため、クライアント側での選定がしやすくなります。

まず左のシートは、制作した3つの案を「上質感←→親しみ」という軸と「画一的←→個性的」という軸に沿って配置します。

そして右は、コンセプトメイキングをマッピングしたもの。
「引っ張り上げる・応援する・見守る」という軸と「スポーツ感←→ビジネス感」という軸。

シートごとにそれぞれ異なる軸を設定すれば、おのずと配置される位置も変わります。そうすることでロゴを様々な側面から検討することができるわけです。このように「どんな軸を設定するか」が重要なことなのだと話します。

課題の解決になっているのか? シンプルに説明できているか? 面白いか?

このような問いを自問自答しデザインしていく。そしてプレゼンの段階では、それを的確に最短距離で説明する。それが高橋さんのアプローチです。

デザインとは、すごく個性的なこと

デザインとはシンプルでスタイリッシュといった画一的なイメージの美しさであって、言うなれば没個性、デザイナー自身の個性がでてはいけない。
そんなイメージを学生時代は持っていたそうです。

しかし、仕事をするようになって、シンプルとは何か、スタイリッシュとは何か、デザインを突き詰めていく作業を繰り返すうちに、デザインとはなんて個性的なものなんだろうと思うようになってきました。

人の数だけデザインはある、そう言ってもいいと思います」。

高橋さん自身も「いつも自分だけにしか思いつかないアイデアを提案する」、それが仕事で必ず心がけることのひとつなのです。

働き方が多様化する時代

現在の高橋さんは、hiwayというクリエイティブユニットに所属しながらもフリーランスとして仕事をしています。

大学を卒業して、制作会社に就職したところから、デザイナーとしてのキャリアがスタートしました。
制作の現場はとにかく刺激的だったと言います。
雑用や手伝いしか出来なかった1年目でもデザイナーとしてカッコイイものが作りたかったし、自分の関わった制作物が世の中に出る経験も初めてでした。

「仕事ではクリエイティブブリーフにしっかりと答えたものをつくることも当然ですが、問題の解決、その上にある面白いアイデア。そこにクリエイティブがあるような気がしているんです。今の自分がそういう考え方を持てるようになったのも制作会社での経験や、いろんな役職の人たち、仲間との出会いがあったからだと思います」そう語る高橋さん。

そして、仕事の中で学んでいったのは、デザイナーは職人ではないということ。
ビジュアルコミュニケーションに意識がシフトしていったと言います。
そして、何より自分らしく働くこと。そういった考えからフリーランスになりました。

高橋さんが持つスケッチブックの1ページ目には、こんなことが書かれています。

心の琴線
1.人は楽しいものが好きだ。
2.人は新しいものが好きだ。
3.人は人に伝えたがる。
4.人はおだてられるのが好きだ。
5.人は面倒なことが嫌いだ。
6.人は飽きやすい。
7.人は笑いたい。
8.人は隠されたものを見つけたがる。
9.人は他人の意見が気になる。
10.そして人は心を動かされたい。

これが、デザイン制作の際、いつも胸に刻んでいることなのです。

取材を終えて〜ロゴストックから

柔らかい雰囲気で語りながらも、その奥には、デザインに対しての真面目さ、真摯さ、愛情がビシバシと伝わってくる。そんな格別な時間でした。
「前向きな人にしかアイデアはだせないと思うんです」そんな言葉にも、とても深さを感じます。

今後の夢は?と聞くと、ロゴだったらいつか飛行機(航空会社)のロゴをデザインしてみたいとのこと。
「自分の手がけたロゴが空を飛ぶ、考えただけでもワクワクします」と話され、インタビューしていた僕もとてもワクワクしました。
いつか高橋さんのデザインしたロゴの飛行機を見てみたいですね!

あなたのお話、聞かせてください!

※ロゴストックでは、「LOGO DAYS 〜ロゴデザイナーインタビュー〜」に登場していただけるロゴのデザイナーさんを募集しています。自薦他薦は問いません。お問い合わせフォームからご連絡ください。

posted by 遠島啓介 on 2013年8月9日

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