ドキュメンタリー映画『タリナイ』のタイトルロゴ。
本作は、第二次世界大戦中、日本の統治下にあった太平洋のマーシャル諸島で戦死した一人の日本兵の足跡をたどり、今もなお残る戦争の記憶を描くドキュメンタリー作品です。
戦争の悲惨さや平和の尊さを、観賞者へ強く押し付けるものではなく、それらが自分にとってどのような意味を持つのか、マーシャルの波のように、想像する力を観賞者の心へ静かに寄せてくれる映画。「タリナイ」とは、現地の言葉で「戦争」を意味しているのだとか。
さて、そのロゴは、和文と欧文が波を隔てて、上下に配置されたデザインです。
中間はマーシャル諸島の波をイメージしており、和文と欧文を併用することで、日本とマーシャル、双方からの視点が表現されています。
マーシャルという島国を媒介とし、過去と現在を越境し、私たちのなかにある戦争と平和の記憶を想起していくようなデザインとしているのだそう。
オーソドックスな明朝体とセリフ体の文字が使われていますが、和文と欧文を同じようなバランスで組み合わされたロゴというのもなかなかなく、ユニークな表現ではないでしょうか。
飾らない「タリナイ」と「tarinae」の文字がダイレクトに伝わることで、中間の波に意識が向かい、そこに想いが見えてくるような、そんな奥行きを感じるロゴですね。
デザイン:小田 起世和
<上映情報>
『タリナイ』
アップリンク渋谷でロードショーを開催
2018年9月29日(土)~10月12日(金)