『人の心にするりと入り込むロゴマークをつくる デザイナー荒砂智之さん』〜LOGO DAYS ロゴデザイナーインタビュー

デザイナーインタビューロゴストックのデザイナーインタビューコーナー【LOGO DAYS】
第3回は、昨年のロゴデザイン大賞2010に入賞した『そろそろひるめし』のロゴマークをデザインされた荒砂智之さん(サイトデザインから運営までも、荒砂さんがひとりで手がけています)にお話を伺いました。

このコーナータイトルももちろん荒砂さんのデザインです!

やるからには、いろんなことをやってみたい

そろそろひるめし』は、赤坂のランチ情報をレポートしていくサイト。

WEBデザイナーである荒砂さんが、制作から運営まですべて一人で行っています。

今までECサイトやポータルサイトなど多くのサイトを制作してきた中で、自分でトライアルとして出来るコンテンツは何か?を考えた末にランチレポートを開始したと語ります。

これまでのデザインにおけるノウハウとCMSの勉強を兼ねてやってみたいことがたくさんあったそうです。

デザインやコピーを変えることによってサイトアクセスにどう反映されるのか?そんなダイレクトなレスポンスに興味があったと言います。自分の思いと違ったりすることもあり、非常に勉強になっているそうです。

ロゴデザインがなかなか決まらない

そんな『そろそろひるめし』のロゴは、『昼』の漢字をモチーフにしたかわいい顔のデザイン。
しかしこれは仮ロゴだったといいます。

「食のサイトなので、最初はご飯とお茶碗などの”めし”的な要素を使って、昼っぽいイメージを出そうかなと思っていました」と語る荒砂さん。しかし、いろいろと考えるうちに煮詰まってきます。

自分のサイトということもあって制作の期限も無いため、なかなか踏ん切りがつきません。とは言え、サイトをオープンさせるためにはロゴマークがないと始まらない。

そんな状況の中、漢字の『昼』をいろいろと手描きしていたら、だんだん顔に見えてくるようになってきたそうです。

そこから広げて「ちょっとこのハライをくるんとしたらどうかな?」などといじっているうちにカタチになってきました。早く開始したいこともあり、気に入らなければ変えればいいかと割り切って決めたデザインだったのです。

ロゴが人の心に刻み込まれる

食べにいったお店ではランチレポートをやっていることを伝えるために、自分の名刺の裏に「そろそろひるめしで検索してください!」というメッセージとともに、このロゴマークを手描きするそう。

それを受け取ったお店の人は、「かわいいロゴだね」とその場で感想を言ってくれます。

そして後ほど実際にサイトに訪れてくれたときロゴマークに目が止まり、手書きで描かれた昼の文字を再び思い出すことで記憶に刻み込まれます。

当初は「”ひる”のことは言えているけれど、”めし”のことが言えていないので、ロゴとしてこれでいいのだろうか?」と悩んだけれど、誰にでも覚えやすく、親しまれるマークであったことが、そろそろひるめしのシンボルになっていることに気づいたそうです。

「無理矢理ビジュアルを詰め込んで成立しましたとデザインするよりも、感じてくれる、すなわちエモーションに訴えるようなデザインが出来ていれば、それでロゴとしていいのかなという発見がありました」。荒砂さんはそう語ってくれました。
(※このロゴマークはタイポグラフィ年鑑2011にも入選されています!)

オーダーの中で、最大の振り幅をもつ

クライアントワークでは、打ち合わせ時に情報を収集することに全力をそそぎます。
それは資料や言葉だけではなく、その人から感じた雰囲気、その場の空気も感じ取るのです。
このHubert(ヒューバート)という会社のロゴマーク。提案には3案を提出したそうです。

1つ目はその会社の発展をイメージしたもの。Trajan(トレイジャン)という高級感があるフォントを用い、全体のフォルムを若干横に広がるようなブリッジがかった形に調整し、Hubertの事業が静かに、でも確実に広がっていくというイメージを表現したそう。

2案目は打ち合わせ時に感じた社長の雰囲気、空気を感じ取ってそれをそのまま流れるようにデザインに落とし込んだもの。

そして3案目は、その会社の業務内容の一環である業界(ファッション)イメージを色濃くだし、スマートさとチャーミングさを出した個性的なものを提案。

ヒアリング時のオーダーでは色は黒、そしてソリッドで鋭い感じのロゴが良いとのことだったため、そのオーダーの中で、最大限の振り幅を持って案を作って提案することを心がけたといいます。

「ヒアリングでは、特に構えることなく普通に話を聴くだけです。複雑なことはしません。チェックシートも用いません。聞いた話をもとに持ち帰ってつくるだけです」。その場で得たもの、感じたことを流れるようにデザインに反映させるのです。

そして「ロゴはお客様やその先のお客様に、長年愛されるようなモノを作ることを心がけています」。その言葉がとても印象的でした。

完成したロゴマークがこちらです。

取材を終えて(ロゴストックからのコメント)

穏やかな雰囲気の荒砂さんでしたが、インタビューを通して内に秘めた熱いものを感じました。
「話を聞いて、形になっていないものを形にするのが好き」。今後も色々な分野のデザインを手がけたいと言います。

ロゴなら素直に想いを形にする。WEBサイトなら雰囲気や使いやすさまで考慮して形にするなど、それぞれの分野(=箱)によって表現する幅が違ってきます。
出来る限りそこに想いを詰め込みます。想いがあって表現する箱がある、そこに最適化していくのです」。
これからの荒砂さんのデザインがとても楽しみです!

[おまけ] 荒砂さんのおすすめ本
甲谷一(かぶとやはじめ)さんの本がオススメです。文字を生き物かのように自由自在に扱われています。細部へのこだわりが素晴らしく、踊るような作例、発想の豊かさに感心しています。また、DRAFTを紹介した「デザインするな」という著書は、デザインを志す方には特にオススメしたい一冊です」。

あなたのお話、聞かせてください!

※ロゴストックでは、「LOGO DAYS 〜ロゴデザイナーインタビュー〜」に登場していただけるロゴのデザイナーさんを募集しています。自薦他薦は問いません。お問い合わせフォームからご連絡ください。

posted by 遠島啓介 on 2011年2月4日

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